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2010 年 4 月

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  2010 年 4 月 30 日 (金)


    サワガニ

                  





 暖かくなってきたら、サワガニ (Geothelphusa dehaani) が出てきました。

 サワガニは、日本唯一の純淡水性のカニであり、日本固有種です。甲幅 (甲羅の幅) が 3cm ぐらいの小さなカニですが、唐揚げなどの食材として使われることがあります。また、名前の通り水のきれいな場所を好むことから、川の水質の指標生物にされています。

 下呂支所のある飛騨地方は、幸いにもこのカニが住める水のきれいな場所がいっぱいあります。これからもこの飛騨地方にずっと住んで、水がきれいなことを教え続けてもらいたいです。






  2010 年 4 月 29 日 (木)


    亀鳴く

                  





 「亀鳴く」 という一風変わった春の季語があります。鎌倉時代の歌人 藤原為家が詠んだ 「川越のをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀のなくなり」 が代表的な作で、“川” や “田” とあるように淡水性のカメを指す季語です。

 本州の淡水性の在来カメ類には、クサガメ ・イシガメ ・スッポンの 3種が挙げられます。もっとも、いずれの種も鳴くことはないようで、現代では 「亀鳴く」 は、想像上の現象を表した情緒的な季語として使われているそうです。

 ただし、江戸時代末期に著された 「新撰美濃志」 には、美濃國石津郡福江村 (現在の海津市海津町福江) の 「鼈 (ドチ : スッポンのこと)」 という項目で 「此辺に産する鼈、たまたま鳴くものあり」 と記述されています。福江村のあたりにいるスッポンの中で、ときどき鳴くものがいたというのです。そういう個体が実在したとは考えにくいので、鳥かカエルか昆虫の鳴き声を誤認したものと推測されますが、江戸時代までは、カメが鳴くと信じる人が実際にいたのかもしれません。




クサガメ




イシガメ




スッポン






  2010 年 4 月 28 日 (水)


    KHV病検体のサンプリング研修会

                  





 23日に本所において、農林事務所の担当職員を対象に KHV (コイヘルペスウイルス) 病検体のサンプリング研修会を実施しました。

 研修会では、KHV病の概要やサンプリングの注意点を説明しました。また、KHV病はコイにしか発生しない病気です。サンプリングの際に対象魚がコイかどうか判別できるよう、コイに似たニゴイやフナとの見分け方についても魚を見ながら説明を行いました。








  2010 年 4 月 27 日 (火)


    ヤマメの放流体験学習

                  





 「第 30回 全国豊かな海づくり大会 ぎふ長良川大会」 の PRを兼ねて、高山市立宮小学校のヤマメ放流体験学習の補助をしてきました。

 このヤマメは、岐阜県漁業協同組合連合会が実施している 「アマゴ ・ヤマメ里親教室」 の一環で、下呂支所で昨年生産した発眼卵を小学校の水槽でふ化させ飼育していたものです (関連記事 : 2009年 11月 12日)。気温が低く、あいにくの雨模様でしたが、子供達はそれなりに楽しんで放流してくれたようです。






  2010 年 4 月 26 日 (月)


    ウシモツゴの赤ちゃんが誕生

                  





 4月 15 ・22日の記事で紹介した今年初めてのウシモツゴの卵から、赤ちゃんが無事に誕生しました。

 産まれたばかりの赤ちゃんは、卵黄嚢 (らんおうのう) といわれる栄養源を持っています。数日はこの卵黄を吸収して成長し、吸収が終わるとエサを食べ始めます。






  2010 年 4 月 23 日 (金)


    ニジマスの発眼卵の検卵作業

                  





検卵機による 生卵 (右側の橙色の卵) と
死卵 (左側の白い卵) との分別作業



 ニジマスの発眼卵 (はつがんらん) の検卵 (けんらん) 作業を下呂支所で実施中です。

 発生の最終段階の卵は、発現した眼球が透けて見えることから “発眼卵” と呼ばれます。卵は、受精後しばらく安静が必要ですが、発眼卵の段階になると外部からの衝撃に比較的強くなり、収容水槽から取り出すことができるので、検卵機により生卵と死卵とを分別する作業が可能になります。死卵を放置すると、水カビ発生の原因となるので取り除かなければなりません。ただし、検卵機による除去では、少数の死卵が残るため、残った死卵を目視観察と手作業により取り除くことが必要です (関連記事 : 2009年 11月 11・17日)

 これらの作業は 「検卵」 と呼ばれ、卵の出荷やふ化室への移送の前に必ず行っています。検卵が終了した発眼卵は、養殖業者への出荷や当研究所での飼育試験などに使用しています。




目視観察と手作業による死卵の除去作業




死卵 (左側) と 生卵 (右側)






  2010 年 4 月 22 日 (木)


    ウシモツゴのの発眼卵

                  





 4月 15日の記事で紹介した今年初めてのウシモツゴの卵が、発眼卵 (はつがんらん) になりました。

 “発眼卵” とは、発生が進み、眼に黒色色素が沈着することで、卵膜をとおして眼が確認できるようになった魚卵のことです。順調に卵の発生が進んでいることが確認でき、一安心です。








  2010 年 4 月 21 日 (水)


    巡回指導

                  





 巡回指導の一環で白川村に行ってきました。

 岐阜県漁業協同組合連合会が実施している 「アマゴ ・ヤマメ里親教室」 で、県内の小学校 34校に下呂支所から発眼卵を提供しました (関連記事 : 2009年 11月 12日)。今回は、そのうちヤマメの発眼卵を提供した 1校に訪問し、稚魚の生育状況を確認しました。先月までは 2つの水槽で飼育していました (関連記事 : 2010年 3月 12日) が、稚魚は順調に生育していて大きくなり、水槽が手狭になったため、1つ水槽を増やしました。








  2010 年 4 月 20 日 (火)


    岐阜県漁業協同組合連合会
    南飛騨ブロック ・東濃ブロック 合同研修会


                  





 「岐阜県漁業協同組合連合会 南飛騨ブロック ・東濃ブロック合同研修会」 が下呂市萩原町の益田川漁業協同組合で開催されました。

 当研究所の職員は 「渓流域におけるマス類の発眼卵埋設」 と 「渓流魚の人工産卵河川」 について発表しました。






  2010 年 4 月 19 日 (月)


    アユへの自動給餌機による餌やり

                  





 本所で飼育中のアユは日に日に成長し、体重 2gほどになりました。

 この時期の稚アユは、1日に体重の 5%もの配合飼料を食べます。5%というと大した値ではないと思われがちですが、体重 70kgの人に当てはめるなら、3.5kgもの食事量 (ご飯 20杯くらい) に相当します。

 本所の飼育施設では、自動給餌機を用いて 1日に 5・6回に分けて餌を与えています。自動給餌機のタイマーが作動すると、写真のように水面にアユが浮いてきて競うように餌を食べています。




水槽の上に設置してあるのが自動給餌機 (右奥)
タイマーで設定した時間に パイプから餌が投入される








  2010 年 4 月 18 日 (日)


    桜の花びら

                  





 風に舞い散る桜の花びら − 日本人の心の琴線に触れる美しい光景ですが、舞い散った桜の花びらは、飼育池の注水や排水のスクリーンを詰まらせるため、水管理上はただの厄介者です。


 特に川からの水がくる注水部は、川沿いの桜の花びらを一身に受けるためかなりの量が流れてきます。下呂支所の飼育池では、桜が散りきってしまうまでは、こまめな掃除が欠かせません。




飼育池のスクリーンにつまった花びら






  2010 年 4 月 16 日 (金)


    アジメドジョウが産卵

                  





 アジメドジョウは、冬期は礫中に潜って越冬し、春、水温が 10度になる頃産卵します。当研究所で飼育しているアジメドジョウ (関連記事 : 2009年 12月 25日) も、水温が 10度に達した 12日に産卵が確認されました。

 水槽に設置している人工産卵床は、産み出された卵が産卵床の外に流出する仕組みになっており、流出してきた卵は回収して別の水槽で管理しています。

 アジメドジョウの卵は約 2週間でふ化しますが、その間は死んだ卵を毎日取り除きます。ふ化後の仔魚の管理とあわせて約 1か月の間、毎日の世話が欠かせません。




卵の回収作業




計数しながら、サイフォンを使って
1粒ずつ卵を吸引して回収




ふ化水槽への収容




死卵の除去作業 (死卵を放置すると水カビ
発生の原因となるので、こまめに取り除く)






  2010 年 4 月 15 日 (木)


    ウシモツゴが産卵

                  





 今期初めてウシモツゴの産卵が 13日に確認されました。卵は直径 2mmほどです。

 産卵された産卵床は、繁殖水槽から取り出し、バケツ水槽に移してエアレーションしています。この時期だと、10日ほどでふ化すると思われます。ウシモツゴの赤ちゃんの誕生が楽しみです。




エアレーション中の産卵床






  2010 年 4 月 14 日 (水)


    ニジマスの採卵と人工受精

                  





 下呂支所で今年 6回目のニジマスの採卵と人工受精を行いました。

 3月 10日に開始した今年の採卵と人工受精は、これで終了しました。





人工受精




受精卵を卵収容水槽に入れる






  2010 年 4 月 13 日 (火)


    アユ飼育水槽のろ過槽の掃除

                  





 本所のアユ飼育施設では、先日、飼育水を人工海水から淡水に切り替えました (関連記事 : 4月 8日)。飼育水の切り替え後、人工海水での飼育時に使用していたろ過槽の掃除を行いました。昨年からたまった汚れがきれいになりました。





ろ材 (ろ過槽に入れて使用)






  2010 年 4 月 12 日 (月)


    ウシモツゴの繁殖水槽を設置

                  





 今年も、ウシモツゴの繁殖時期が近づいてきました。

 雄は婚姻色で黒くなり、雌はお腹がふっくらとしてきます。本所の希少魚飼育室では、産卵に備えて、9日の親魚交換会で新たにやって来た親魚と当研究所で飼育してきた親魚との組み合わせで繁殖用の水槽に入れました。各水槽には、卵を産み付けるための塩ビ管でつくった産卵床を設置しました。




塩ビのパイプで作成した産卵床






  2010 年 4 月 10 日 (土)


    桜満開 春本番

                  





 下呂支所の桜が満開となりました。いよいよ春本番です。

 美濃地方の川には “さくらばえ” と呼ばれる魚が生息しています。“さくらばえ” は、コイ科ヒガイ亜科ヒガイ属の 「カワヒガイ」 のことで、“さくら”の名を冠した淡水魚の数少ない例のひとつです。県内では、この魚は “さくらばえ” のほか、“あかめ” や “しょうげんもろこ” といった方言で呼ばれてきました。

 “さくらばえ” や “あかめ” という方言は、産卵期の雄の体の一部分が桜色になることや、眼の虹彩が赤くなることに由来しています。また、大正 13年 (1924年) に発行された 「揖斐郡志」 によれば、“しょうげんもろこ” は、江戸時代初期の美濃奉行だった岡田将監 (おかだしょうげん) がこの魚を好んだことに由来する名とされています。




カワヒガイ




方言の由来となった桜色の顔と赤い虹彩 (黒目の周囲)






  2010 年 4 月 9 日 (金)


    ウシモツゴの親魚交換会

                  





 今年で 5回目となるウシモツゴの親魚交換会が岐阜県淡水魚園水族館アクア・トトぎふで開催されました (関連記事 : 2009年 4月 27日)。

 関市や美濃市の小中学生らが育てた親魚が 「ウシモツゴを守る会」 の会員のもとへと嫁 (婿) 入りしていきます。当日はヤマリンも駆けつけてくれ、旅立ちを見守っていました。早く新しい水に馴染んでもらいたいものです。








  2010 年 4 月 8 日 (木)


    アユの飼育水の淡水化

                  





 アユは、秋に川で誕生してすぐに海へ行き、冬を海で過ごした後、春に川を遡上して成長する回遊魚です。本所のアユの飼育施設でも、孵化してしばらく人工海水 (海水の組成に調製した水) で飼育した後、成長状況に応じて、淡水での飼育に移行するようにしています。

 今日の作業では、飼育水を人工海水から淡水に切り替えました。今後の成長が楽しみです。






  2010 年 4 月 7 日 (水)


    ニジマスの採卵と人工受精

                  





 下呂支所で今年 5回目のニジマスの採卵と人工受精を行いました。

 同じ系統の魚で、かつ同じ池で飼育してきた魚であっても、成熟の時期には個体差があります (最大で 1ヶ月半ほど)。そのため、親魚の成熟度合いを定期的に確認して、毎回、採卵可能な個体だけを選び出して採卵と人工受精を行っています。




親魚の成熟度合いの確認作業
1個体ずつ確認して、採卵可能なものを選び出す




1個体ずつ卵を採取する




採取したばかりの卵
この後、受精を行ってから、卵収容水槽に入れる






  2010 年 4 月 6 日 (火)


    飼育魚の移送

                  





 下呂支所では、屋外の飼育池でアマゴやヤマメなどを飼育しています。

 魚が混みあっている飼育池では病気が発生しやくなるので、個体数や体サイズに応じて、より大きい池に魚を移し替えるようにしています。今日の作業では、来年の採卵用の親魚候補のニジマスを小型の A号池から大型の F号池に移し替えました。




F号池の準備  番線を池の縦横に張る




支柱を立てる




防鳥ネットをかぶせる




注水して 魚の受け入れ準備完了




A号池から移送したニジマス






  2010 年 4 月 5 日 (月)


    孵化室の管理

                  





 孵化室は、検卵が完了したアマゴなどの発眼卵を収容して孵化させ、稚魚の餌付けを行う施設です (関連記事 : 2009年 11月 5日)。現在、孵化室では、昨年生まれたアマゴやヤマメの稚魚を収容しています。

 人間と同じく、魚も小さい頃はいろいろな病気にかかりやすいため、屋外の池とは隔離して飼育しています。孵化室では、池の掃除と餌の補給が欠かせない日課となっています。




掃除




自動給餌機への餌の補給






  2010 年 4 月 2 日 (金)


    カワネズミ

                  





 渓流の魚類調査の際にカワネズミを見つけました。

 カワネズミは、モグラ目トガリネズミ科に属しており、名前はネズミですが、モグラに近い動物です。水中を機敏に行動して魚を捕食するため、当研究所が試験放流した標識魚も何匹か食われているかもしれません。写真の個体は、調査区間から離れた場所に放逐しました。








  2010 年 4 月 1 日 (木)


    カジカの展示水槽

                  






 当研究所では、イベントなどでカジカを紹介する際に、透明な円形水槽を使ってカジカを展示しています。

 下呂支所ではその展示水槽を常設しており、見学者がカジカを観察したりエサを与えたりすることができるようになっています。このカジカは人によく慣れており、愛嬌のある姿をしっかりと見ることができます。

 下呂支所の施設見学は、平日 9時から 16時の間でお受けしています。見学を希望される方はご相談ください。なお、調査や飼育管理の都合上、ご要望にお応えできない場合があります。あらかじめご了承ください。




カジカ小卵型を展示中





近づくと目が合います








記 事


サワガニ

亀鳴く

KHV病検体の
サンプリング研修会

ヤマメの
放流体験学習

ウシモツゴの
赤ちゃんが誕生

ニジマスの
発眼卵の検卵作用

ウシモツゴの
発眼卵

巡回指導

岐阜県漁業協同組合
連合会 南飛騨
ブロック ・東濃
ブロック合同研修会

アユへの自動
給餌機による餌やり

桜の花びら

アジメドジョウが
産卵

ウシモツゴが産卵

ニジマスの
採卵と人工受精

アユ飼育水槽の
ろ過槽の掃除

ウシモツゴの
繁殖水槽の設置

桜満開 春本番

ウシモツゴの
親魚交換会

アユの飼育水の
淡水化

ニジマスの
採卵と人工受精

飼育魚の移送

孵化室の管理

カワネズミ

カジカの展示水槽




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