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せかぶ日誌
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2009 年 7 月

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  2009 年 7 月 31 日 (金)


    研究所一日開放の準備

                  






 明後日 8月 2日 (日) に開催予定のイベント 「河川環境研究所 一日開放」 の準備を行いました。

 釣り堀やつかみ取りで使用する魚の移送、テントの組み立て、展示水槽やパネルの設置作業を行い、準備がほぼ完了しました。ただ、このところ雨の日が続いているので、当日、天気が回復することを祈るばかりです。




展示水槽の準備







  2009 年 7 月 28 日 (火)


    アユ放流に関する増殖担当者現地研修会

                  






 中津川市福岡の 「福岡ふれあい文化センター」 において、「岐阜県漁業協同組合連合会 アユ放流に関する増殖担当者現地研修会」 が開催されました。

 平成 18年から始まり、4回目となる今年の研修会では、当研究所の職員が 「アユを分ける!−個体別にアユの由来を分けるための方法−」、「アユを放流しても釣れない漁場の環境要因」 について講演しました。講演後は、積極的な意見交換がありました。









  2009 年 7 月 27 日 (月)


    さらに増水

                  






 土日の雨で、川がさらに増水してしまいました。この状況では、今週に持ち越していたアユや渓流魚の調査は、また延期せざるをえません。

 例年よりも増水が長引いていて、川が荒れた状態が続いているので、5・6月に試験放流したアユやアマゴの残存状況が気になっています。




導水路の取水口の維持管理作業







  2009 年 7 月 24 日 (金)


    川の増水が続く

                  






 長引く雨と川の増水のため、今月中旬に予定していたアユや渓流魚の調査を延期しています。

 雨の合間に晴れる日があるのですが、川の増水は、一日や二日でおさまるものではなく、調査をなかなか実施できません。思い通りにデータの収集ができないのが、野外調査のつらいところです。




本流の水位の変動に合わせて、
導水路の水量の調節を随時実施







  2009 年 7 月 22 日 (水)


    水中から見た日食

                  






 今日は、曇っていましたが、ときおり雲の切れ間から日が射して、部分日食を見ることができました。写真は、水中から撮った日食です。太陽の一部分がぼんやりと欠けているようにも見えますが、魚が認知できるほどのものではなさそうです。

 下呂支所では、屋外のコンクリート池に河川水を導入して魚を飼育しています。飼育池の管理作業のかたわら、日食中に魚の行動に変化が見られるかどうか観察してみました。日食時には、一時的に気温が低下したり薄暗くなったりして、生物の行動に変化が生じるという話を聞きます。川の水温は、一般に気温や日射量の影響を受けて変化しています。ただし、今日は、もともと雲が多い天気であり、朝から水温が低いままだったので、日食に伴う水温の変化は、特に観察されませんでした。また、日食時の明るさについても、はっきりとした変化はありませんでした。

 結局、飼育池の魚は、行動の変化は見られず、相も変わらず悠々と泳いでいました。




いつも通り悠々と泳ぐニジマス







  2009 年 7 月 19 日 (日)


    益田川のウナギ

                  






 今年は、7月 19日と 31日が土用丑の日です。当の魚たちにとっては受難ですが、ウナギは川や湖における漁業対象種として重要視されています。

 下呂支所 (下呂市萩原町) のそばを流れる益田川 (飛騨川) には、現在、何ヶ所もダムがあり、ウナギが海から遡上できないため、種苗放流により漁業を維持しています。ダムが建設される前は、ウナギだけでなくアユやサツキマスといった回遊魚が、萩原町付近でも漁獲されていました。しかし、こうした回遊魚の漁獲が明治時代中期に初めて実現したものであるということは、あまり知られていません。

 明治 6年に編纂された 「斐太後風土記」 によれば、益田川でのウナギの漁獲は少数に過ぎず、漁場は現在の下呂市金山町や下呂温泉付近に限られ、萩原町では漁獲されていませんでした。当時、益田川の渓谷 「中山七里」 には滝があり、魚の遡上は容易ではありませんでした。これを改善するため、江戸時代文久年間 (1861-1863年) や明治 21年には、岩を割って滝の近くに小流をつくる工事が行われましたが、魚道としての機能は不十分だったとされています。しかし、明治 31年に工事があらためて行われ、これが功を奏したようで、萩原町やより上流に位置する小坂町でもウナギが漁獲されるようになり、大正 3年には益田川全体で 82貫 (307kg) もの漁獲量が記録されています (岐阜縣益田郡誌 1916)。

 ダムが建設される前の古い時代の話ですが、益田川におけるウナギ漁場の拡大の背景には、先人たちの苦労があったのです。









  2009 年 7 月 17 日 (金)


    大きくなったウシモツゴ

                  






 4月24日の記事で紹介したウシモツゴの赤ちゃん達が、本所の希少魚飼育施設ですくすくと育っています。

 ふ化したばかりの時は、体長約 4mmで弱々しい体つきでしたが、今では 15mmぐらいにまで成長し、体型が成魚に近くなってきました。初めのうちは、浮かんでいる餌しか食べることができませんでしたが、今では水底に落ちている餌も上手に食べています。







  2009 年 7 月 16 日 (水)


    体験学習 「水生昆虫遊び」 の準備

                  






 来月 2日(日)に開催する研究所の一般開放イベント 「河川環境研究所 一日開放」 では、さまざまな企画や展示を予定しています。毎年恒例の釣り堀や魚のつかみ取りのほか、体験学習 「水生昆虫遊び」 などの企画も準備中です。

 体験学習 「水生昆虫遊び」 は、当研究所が考案 ・作成した生物教育プログラムのひとつで、水生昆虫の採集や観察を体験した後、それらの生息場所 ・餌 ・形態を クイズ形式で学習する内容です。今日は、その準備のため、会場となる飼育池を整備して水路を設けるとともに、水生昆虫が定着するよう、石やレンガを水路内に並べました。









  2009 年 7 月 14 日 (火)


    アマゴとイワナの交雑個体

                  





    上 : イワナの稚魚
    中 : 交雑個体と考えられる稚魚
    下 : アマゴの稚魚



 先月8日の渓流の魚類調査で、アマゴとイワナの交雑個体と考えられる魚が採捕されました。今日、別の渓流で魚類調査を行ったところ、ここでもアマゴとイワナの交雑個体と考えられる魚が見つかりました。

 前回は 27cmの比較的大きい個体でしたが、今回は 7cm程度の稚魚です。体の側面はアマゴのように明るい色を呈していますが、体形は細身でイワナに近く、両者の特徴が混在しています。由来ははっきりしませんが、人工的に交配された魚が持ち込まれたとは考えにくく、昨年の秋に自然交雑が起こっていたものと推測されます。






  2009 年 7 月 13 日 (月)


    水槽実験 「養殖アマゴの警戒心の強さの検証」

                  






 下呂支所で先月末から実施してきたアマゴの水槽実験が今日終了しました。

 現在、アマゴの放流種苗として養殖魚が使用されていますが、その放流効果は、思うように上がっていないのが実情です。養殖アマゴは、昭和 40年代に完全養殖が可能になって以来、養魚場で何世代も飼育されてきた魚です。そのため、捕食者に対する警戒心が、天然のアマゴと違って低下しているのかもしれません。そこで当研究所では、放流種苗として使用している養殖アマゴの警戒心の強さを水槽実験で調べることにしました。




アマゴの体サイズの測定作業



 実験内容は、アマゴの稚魚 20個体と、捕食者 (イワナの成魚 1個体) を水槽に入れ、アマゴの生残数を 2週間後に確認するというものです。養殖場のアマゴの雌雄を交配した 「養殖系統」 のほか、天然のサツキマス (アマゴの降海型) の雌雄を交配した 「天然系統」 や、養殖場のアマゴの雌と天然のサツキマスの雄とを交配した 「半天然系統」 もそれぞれ実験に使用し、これら 3系統の間で生残数を比較しました。

 当初の予測では、「天然系統」 は捕食者に対する警戒心を保持している一方、養殖場で捕食者というものを知ることなく何世代も飼育されてきた 「養殖系統」 は捕食者に食べられやすく、系統間で生残数に差が生じるのではないかと考えていました。

 しかし、実験データを解析した結果、いずれの系統の間にも有意な差はなく (下図)、放流種苗として現在使用している 「養殖系統」 の警戒心の低下を認めるには至りませんでした。アマゴの稚魚放流の効果が思うように上がっていないことの理由を考えるには、今後、警戒心以外の性質にも注目が必要といえます。





3系統のアマゴの生残数 (有意差なし)






  2009 年 7 月 8 日 (水)


    水門や水路の点検作業

                  





 下呂支所が魚の飼育用に取水している飛騨川 (益田川) が、このところの雨で増水しています。今日は、点検のために水門まで行き、取水口にたまっていたごみを除去しました。

 下呂支所では、飛騨川の河川水を 水路を使って導入しており、これを大部分の魚の飼育に使用しています。大雨で飛騨川が増水して大量の流下物が発生した場合は、飼育池の断水などのトラブルを防ぐため、夜間または休日であっても、職員が出動して配水池のスクリーンの掃除や飼育魚の確認を行っています。また、過去には、水門に流木が詰まって水量が急減したことがあるので、今日のように水門や水路の点検が欠かせません。梅雨や台風シーズンなど 雨が続く時期は、なかなか気が休まりません。






  2009 年 7 月 6 日 (月)


    選別かご

                  





 「選別かご」 は、アユやアマゴなどの稚魚の体サイズを揃える時に使う道具です。木の枠に棒を等間隔に並べて柵状にした構造で、この柵の幅よりも細い魚は外に抜けて、大きいものは残るので、飼育魚を大きいものと小さいものに分ける時に使います。

 選別かごは、柵の幅が最小 5mmのものから最大 20mmのものまでがあり、これらを使い分けることで、大きすぎる個体や小さすぎる個体を取り除いて、必要なサイズの魚だけを選び出すことができます。水槽実験や試験放流では、使用する魚のサイズを揃える必要があるので、この選別かごを いつも重用しています。




アマゴの稚魚の選別作業






  2009 年 7 月 3 日 (金)


    ウシモツゴの調査

                  





 ウシモツゴの野生復帰に取り組んでいる池で、「ウシモツゴを守る会」 が生息状況の調査を行いました。

 ウシモツゴは、岐阜県、愛知県、三重県にしかいないコイ科魚類で、環境省レッドリスト絶滅危惧 IA 類や岐阜県レッドデータブック絶滅危惧 I 類に指定され、早急な保全対策が求められている希少魚です。「ウシモツゴを守る会」 は、ウシモツゴの保護と生息地の復元を目的にした官民横断組織で、岐阜・美濃生態系研究会、岐阜県世界淡水魚園水族館アクア・トト ぎふ、関市、美濃市、岐阜県博物館、当研究所が参加しており、放流後の生残や繁殖状況の確認、水質の分析などの活動を定期的に行っています。

 今回の調査では、一部のため池で、ウシモツゴの定着が確認できました。






  2009 年 7 月 1 日 (水)


    渓流で魚類調査

                  






 
当研究所が取り組んでいる 「渓流魚資源の新増殖モデルの開発・実用化研究」 では、アマゴやヤマメなどの増殖方法について検討しています。

 渓流魚の増殖方法については、稚魚放流・成魚放流・発眼卵埋設・産卵場所造成などいろいろあります。しかし、岐阜県の渓流で増殖方法として現在認められているのは、稚魚放流だけであり、このほかには、成魚放流による代替が考慮されているにすぎません。当研究所では、発眼卵埋設や産卵場所造成などの効果を実地試験により検証し、県漁場管理委員会へのデータ提示を目指しています。

 現在、その実地試験の準備のため、生息している魚類や物理環境について予備調査を進めています。今回調査した区間では、イワナ・アマゴ・タカハヤが確認されました。




体サイズの測定 (イワナ)








記 事


研究所
一日開放の準備

アユ放流に関する
増殖担当者
現地研修会

さらに増水

川の増水が続く

水中から見た日食

益田川のウナギ

大きくなった
ウシモツゴ

体験学習 「水生
昆虫遊び」 の準備

アマゴとイワナの
交雑個体

水槽実験 「養殖
アマゴの警戒心の
強さの検証」

水門や水路の
点検作業

選別かご

ウシモツゴの調査

渓流で魚類調査



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