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2024 2 14 日 (水)
与太郎淵
 





 与太郎淵は、郡上市白鳥町歩岐島地区にあった池で、古くはコイ科フナ属の体色変異個体であるヒブナ(緋鮒)の生息域として知られていました。

 与太郎淵は1956年に埋め立てられ、現存していません。与太郎淵の実態についてはほとんど知られていませんでしたが、近年、戦前の文献や地籍図などの情報からその位置や形状が明らかになりました。

 与太郎淵の埋め立てから60年以上が経過した現在、もう痕跡すら残っていませんが、かつてここに存在していたことはせめて記憶しておきたいものです。跡地の近くには「与太郎さま」と呼ばれる祠が地元の人々の手によってまつられており、与太郎の名を今に伝えています。




与太郎淵があったあたり




与太郎さま
(文献では与太郎神社または
不動様と記述されている)



参考文献

岸 大弼.2022.現存しない与太郎淵
 (岐阜県)におけるヒブナの記録.
 人と自然,32: 89-97.
 < 外部リンク >




2024 2 13 日 (火)
河川調査
 





 河川調査を行いました。

 今回の調査では水量や藻類の状況を確認しました。




2024 2 12 日 (月)
ヤマメとイワナの交雑
 





 ヤマメとイワナ(あるいは アマゴとイワナ)の交雑個体は、全国各地の河川で確認されています。岐阜県内の河川でも、そうした交雑個体がときどき発見されています(関連記事:2022年6月14日、12月30日)。

 2020年の秋、県内の河川でアマゴおよびイワナの同種間ならびに異種間の配偶行動を探索する調査が実施されました。この調査では、異種間の配偶行動の発生頻度が初めて示されたほか、異種間の配偶行動がイワナ雌とアマゴ雄という組み合わせに偏っていることが明らかにされています。





参考文献

田口瑛心・岸 大弼・伊藤健吾. 2022.
 岐阜県の河川におけるアマゴとイワ
 ナによる異種間の配偶行動. Ichthy,
 Natural History of Fishes of Japan,
 27: 87-94.  < 外部リンク >





イワナ(上側)
交雑と考えられる個体(中央)
アマゴ(下側)




2024 2 9 日 (金)
サツキマスの分布
 





 サツキマスは水産資源として古くから重視されてきた魚類であり、日本固有の亜種かつ世界最南限の降海型サケ科魚類として学術的にも貴重な魚類です。しかし、国内における分布域については十分に把握されていませんでした。

 下呂支所では1930年代に農林省水産局(当時)から発行された「河川漁業」という文献に注目し、当時のサツキマスの分布域の解明に取り組みました。





 解析の結果、東海から四国・九州にかけての79水系のうち31水系にサツキマスが分布していたことや、北方の水系ならびに流路が長い水系ほど分布確率が高くなる傾向が確認されました。

 また、1912年の別の文献の情報をもとに本研究で得られた一般化線形モデルで算定したところ、四国の四万十川水系がサツキマス分布の最南限であることが確認されました。以上の結果から、かつてはサツキマスが計32水系に分布していたことが明らかになりました。

 しかし、1970年代の調査ではサツキマスは7水系で確認されているに過ぎず、高度経済成長期に大幅に減少していたものと考えられます。

 現在、サツキマスは長良川水系や広島県の太田川水系といった一部の水系では確認されていますが、東海から四国・九州にかけての各水系を網羅した広域調査は行われておらず、知見が不足しているのが実情です。今後は各水系における分布の有無について現状を把握することが望まれます。





参考文献

岸 大弼・コ原哲也.2019.昭和時代
 初期のサツキマスの分布:農林省
 水産局「河川漁業」の情報からの
 推定.魚類学雑誌,66: 187-194.
 < 外部リンク >

岸 大弼・コ原哲也.2021.1927年の
 サツキマスの漁獲量:農林省水産局
 「河川漁業」の情報の検討.岐阜県
 水産研究所研究報告,66: 1-6.
 < PDF >




2024 2 8 日 (木)
大阪府環境農林水産総合研究所 生物多様性センターの職員が来訪
 





 大阪府環境農林水産総合研究所 生物多様性センターの職員が本所に来訪しました。

 本所の職員はアジメドジョウの飼育器材の構造や使用方法などを説明しました。


参考文献

藤井亮吏・田口錠次.2012.アジメ
 ドジョウの人工産卵床と産卵水温.
 岐阜県河川環境研究所研究報告,
 57: 15-21.  < PDF >







2024 2 7 日 (水)
養殖魚の魚病診断
 





 下呂支所に県内の養殖場から魚病診断の依頼がありました。

 今回、診断の依頼があったのはニジマスです。養殖場は、自然界よりも高い密度で魚を飼育しており、病気が蔓延すると大きな被害が出る恐れがあるので、原因の把握と適切な対応が不可欠です。当研究所では、寄生虫や細菌の有無などを調べ、養殖場に対応策を指導しています。










2024 2 6 日 (火)
タモの補修
 





 下呂支所でタモの補修を行いました。

 タモは野外での魚類調査や所内での飼育魚の管理に欠かせない道具です。使用頻度が高いので、よくほつれたり穴が開いたりしますが、その都度、職員が手作業で補修して、少しでも長く使用できるようにしています。




2024 2 5 日 (月)
 





 下呂支所のある下呂市萩原町では夕べから雪が降っています。

 今日は、朝から通路の除雪や飼育池の防鳥ネットの点検などの作業に職員が追われています。







2024 2 2 日 (金)
ミズワタクチビルケイソウ
 





 ミズワタクチビルケイソウ(Cymbella janischii)はアメリカ原産の外来珪藻です。日本への移入の経緯はよく分かっていませんが、2011年に大分県の筑後川水系で確認された後、近年は岐阜県を含む国内各地で分布拡大が懸念されています。

 ミズワタクチビルケイソウが繁茂すると、アユの餌となる付着藻類の生育が妨げられるおそれがあります。別の河川で使用した胴長・タモ・オトリ缶などを持ち込む場合は、ミズワタクチビルケイソウの分布拡大を防止するため、あらかじめ消毒や乾燥を念入りに行うようお願いします。

 釣り具や漁具の消毒や乾燥は、アユの冷水病やエドワジエラ・イクタルリ病の持ち込みを防ぐためにも不可欠です。消毒には、塩水、お湯、アルコールを使用する方法があります。詳しくは下記のパンフレットをご覧ください。良好なアユ漁場を維持するため、ご協力をお願いします。


水産庁パンフレット

「塩で防げ!外来藻類 ミズワタクチ
 ビルケイソウ」 令和4年3月発行.
 
< 外部リンク >












水 10リットルにつき
塩 500グラム以上を入れるのが目安
(濃度 5%以上)




塩水に 1分以上ひたす




ウェーダーの靴底(フェルト)には
念入りに 塩分をしみ込ませる




靴底が浮く場合は、重しをして
塩水の中に沈ませるのもよい


参考文献

小川 束・田中正明.2022.長良川に
 おける外来大形珪藻 Cymbella
 janischii
(A. W. F. Schmidt) De
 Toniについて.四日市大学論集, 35:
 23-32.  < 外部リンク >

洲澤多美枝・清野聡子・真山茂樹.
 2011.筑後川上流に大量出現した
 Cymbella janischii (A.W.F.
 Schmidt) De Toni とGomphoneis
 minuta
 (Stone) Kociolek &
 Stoermer:外来種珪藻の可能性に
 ついて.Diatom, 27: 58-64.
 < 外部リンク >




2024 2 1 日 (木)
飼育池の掃除
 





 下呂支所で飼育池の掃除を行いました。

 魚を飼育している池では、残餌や排泄物の掃除が必要です。使用していない池でも藻が生えたり落ち葉がたまったりするので、使用を再開する前に掃除するようにしています。










記 事

与太郎淵
河川調査
ヤマメとイワナの
交雑
サツキマスの分布
大阪府環境農林
水産総合研究所
生物多様性セン
ターの職員が来訪
養殖魚の魚病診断
タモの補修
ミズワタ
クチビルケイソウ
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