天然アユ(自然再生産に由来し、海から遡上したアユ)が生息する河川では、放流した人工種苗アユの効果を把握するのは容易ではありません。何故なら、効果を把握するためには、漁獲されたアユが天然なのか放流なのか、客観的な手法で判別しなければならないからです。
従来から天然アユと人工種苗アユでは鱗の数が異なることが知られており、背びれの基部から側線までの鱗の枚数「側線上方横列鱗数(そくせんじょうほうおうれつりんすう)」を計数することで両者を判別できることが報告されています。しかし、報告によって起点となる背鰭の鰭条が異なるなど、側線上方横列鱗数の計数方法は一様ではなく、同じサンプルを用いても計数者によって値がばらつくなど、単純にデータを比較することができないという問題がありました。
そこで、当研究所では、計数上のルールを定め、誰でも、簡単に、高い精度で計数できるようなサンプル処理方法を検討し、側線上方横列鱗数の計数マニュアルを作成しました。
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